リターゲティング活用の基礎知識

SEOは時間のかかるマーケティング施策です。すぐにコンバージョンにつながることはなかなかありません。そんなときに有効なのが、リターゲティングです。

SEOがあらゆるデジタルマーケティング戦略にとって欠かせないのは事実です。オンライン検索から買い物を始める消費者の割合は44%で、Eコマースの3分の1は検索エンジンを経由しています。モバイル検索をした人の半分が検索してから1日以内に店を訪れていることを考えると、オンライン検索は実店舗を構えている人にとっても大切です。どのようなタイプや規模のビジネスを展開していようと、検索エンジンは必要不可欠な源なのです。

残念なことに、大きな問題があります。オーガニック検索の96%を占めるWebサイト初回訪問者は、コンバージョンに至りません。その大きな理由は販売プロセスの、そもそものあり方です。検索の大多数は情報を検索するためだからです。しかし、コンバージョンに至る可能性が高い、Webサイトを去ってしまった初回訪問者をつかまえる効果的な方法があります。それは「リターゲティング」です。
サイトリターゲティングでSEOのトラフィックをリサイクルする

サイトリターゲティング(リターゲティング)とは、単純に言えば、以前にWebサイトを訪れたことのあるユーザーをターゲットにし、閲覧中のWebサイトに広告を表示することです。バナー広告と同じように語られることが多いのですが、サイトリターゲティングではGoogle検索を使った訪問者のリターゲットもできます(あとで説明します)。従来のディスプレイ広告と違うのは、Webページを訪れたことがある人、または、デモグラフィック要素を使う代わりにWebサイトの特定の場所やページだけをターゲットにしていることです。

サイトリターゲティングの仕組みは、次の通りです。ちょっとしたJavaScript、つまりリターゲティングピクセルがWebサイト訪問者のブラウザーにクッキーを追加するタグを設置します。そのあと、リターゲティングしているプロバイダーが、追加したクッキーをインターネットで発見すると、そのブラウザーに広告を表示します。もちろん、高い広告インプレッションを得られます。セールスファネルの下の方にいる見込み客により近づいてキャッチし、たとえ別のWebサイトを閲覧していても、アプローチできるチャンスが得られるのです。

もっとすばらしいことに、リターゲティングピクセルは各Webページに設置できます。そのため、特定の製品やカテゴリーをターゲットにしたキャンペーンを開催できます。

結果として、もっとも効果的なオンラインマーケティングチャンネル2つのコンビネーションが完成します。一般的なSEOのコンバージョン率は約2%です(正確には2.35%)です。これは、広告主が一番効果の高いマーケティングチャンネルとみなしています。このトラフィックとリターゲティングとを組み合わせればコンバージョン率を2倍にできます。たとえば、金融サービス業など、業種によってはコンバージョン率がほぼ150%になったケースもあるのです!
検索リターゲティング:SEOであるとも、そうでないとも言える

しかし、開設して間もないWebサイトや、思うようなトラフィックを得られない小規模なWebサイトの場合はどうでしょうか。Webサイトを訪れてくれる訪問者がいなければ、リターゲットも簡単ではありません。ありがたいことに、あるWebサイトをまったく見たことがない人でも、そのWebページのターゲットキーワードを使って検索している人に広告を表示する「検索リターゲティング」という方法があります。

検索リターゲティングはユーザーが検索をしたときから始まります。そのあと広告ベンダーは、ユーザーが使っている検索エンジンに応じて、いろいろな方法で検索データを集めますが、もっともよく使われるのはユーザーのランディングページから送信されたリファラデータです。リファラデータでターゲットキーワードを見つけると、広告が表示されます。

注意しておきたいのは、リファラデータを使うのは、キーワードだけのセグメントとは違うということです。キーワードだけのセグメントは本当の意味でそのキーワードでオンライン検索をした人をターゲットにしているのに対し、リファラデータを使ったセグメントは検索者の過去の行動情報を集めた関心のセグメントだという点です。こうしたセグメントをターゲットにすることは効果的ですが、真の検索リターゲティングとは別物です。

検索リターゲティングの最大のメリットは、ディスプレイ広告の範囲とSEOの正確さを組み合わせることです。もちろん、このマーケティング方法ではSEOのデータが使われるため、キーワード検索から始める必要があります。ランディングページ最適化が、キャンペーンの目標に基づくコンバージョン率最適化(CRO)へと変わるので、キーワードのリストができ上がれば最適化がはるかに簡単になります。キーワードとランディングページを検索意図に基づいてセグメント化できたという理想の状況が完成するのです。

●情報型:コンバージョンプロセスのまさに初期段階で、初回訪問者がコンバージョンすることはあまりない。ブランディングキャンペーンを開催しているなら、キーワードリストに情報型のキーワードを入れておくとよい。こうしたキーワードは検索の大部分を占めるため、コンバージョンの目標に達しても無視することはできない。「方法」「必要」「探し方」といった単語やフレーズが含まれるキーワードを使う。これがWebサイトやサイトリターゲティングを通じ、コンバージョンにつながると考えられる

●検索型:検索型キーワードを使う検索者は、情報型キーワードを使う検索者よりも、セールスファネルの下の部分にいる。製品購入はすでに決めているが、どれが最良かはまだ決めていない。さらなる情報を探しているので「レビュー」「トップ10」「比較」といったキーワードを使う。またスパムのように思えるかもしれないが「安い」という言葉もコンバージョン率を高める

●マーケットイン型:「黙って金を持って行け」というタイプの検索者。検索結果から買おうとしている製品のページに直接行きたいと思っている。このタイプのキーワードには、ほとんどの場合「お得」「無料」「割引」「購入する」というものが含まれる。検索ボリュームは多くないが、その分コンバージョン率が高い

検索リターゲティングのメリットとして明らかなのは、こちらが検索上位になろうと苦心したキーワードに関心を持つ人にリーチできることです。しかも、うまくすれば競合のトラフィックをある程度は退けられます。競合のWebページをよく調べ、タイトルタグ、H1タグ、URL、記事タイトルで使われているフレーズからキーワードを特定して、WooRankのSERP Checkerを使って競合しているキーワードをすべて追跡します。向こうが勝っているキーワードに集中して対策を施し、自分のサイトへのトラフィックを増やしていきます。

オーガニックとリターゲティングを一緒に利用する

ここまで、SEOを使ってリターゲティングキャンペーンを強化し、コンバージョン率を上げる方法について説明してきました。しかし、メリットはその両方で得られます。リターゲティングキャンペーンをすれば、Webサイトと検索の両方が間接的に機能し、オーガニック検索トラフィックを増やしてくれます。中でも一番のメリットは、広告ブラインドネスの解決です。リターゲティング広告が表示されたときに気づく消費者の割合は4分の3です。ブランド認知の改善・強化にとても効果的で、そのための数字も得られます。2010年、comScoreによってサイトリターゲティングによってブランド検索活動が大幅に(1.046%)改善したことが分かりました。これでは、リターゲティングキャンペーンをするのも当然です。

comScoreの同研究によれば、リターゲティングキャンペーンによって、バナー広告を見て4週間後に戻ってくる訪問者の確率は726%も上がると分かっています。リターゲティングキャンペーンをしているWebサイトでのユーザーの滞在時間も同じように増えており、また直帰率がかなり下がっています。ユーザーがWebサイトを去ったあともその目にブランドが触れるよう、リターゲティング広告がオーガニック検索マーケティングのサポートをしてくれていることは明らかです。
最後に

検索トラフィックはほかの販売経路と比べて品質規格としての地位を、当然のことながら確立しています。しかし、SEOは、本来、マーケティングというパズルのピースの1つでしかなく、Webサイトの訪問者をコンバージョンするための機会がたくさんあっても失ってしまうこともあります。それでもありがたいことに、リターゲティングキャンペーンによって、横道にそれてしまったユーザーを元に戻し、コンバージョンファネルの中を移動させられるのです。また、マーケティング戦略全体の一部としてブランディングとSEO戦略の強化もできます。

※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:Retargeting: SEO & PPC Working Together)